親は子どもにとって最後の砦だと思う。
まずは話を聞いてあげたい。
杏子さんは小学2年生のお子さんをもつお母さんです。お子さんは小学1年生の春から不登校になり、1年生の5月頃からフリースクールへ通っています。
―ラシーナを知ったきっかけや利用することになった経緯を教えてください。
杏子さん:フリースクールを利用していた保護者の方からラシーナ教室を紹介してもらいました。ラシーナ以外のスクールも見に行きました。
サドベリースクール(1968年に設立された、米マサチューセッツ州フレイミングハムの私立校と同じ理念で運営をしている学校のことで、「子どもが自分の学びを決めている」「民主的に経営、人事を行っている」ことを原則としています。)にも見学に行きましたが、
娘は全てを自分で決めることが苦手なので通うのは難しいなと感じました。
芯は強くてしっかり自分の意志は持っているけれど、自分から気持ちを言葉にして伝えることは苦手みたいで。
ある程度枠組みのあるフリースクールが娘には合っていると思いました。
―「お子さんから学校へ行きたくないと聞いたとき、お母さんはどのように感じましたか。またどのように対応されたのか教えてください。」
杏子さん:私自身も学生時代のころはあまり学校に行きたいと思っていませんでした。
だから娘の口から学校へ行きたくないと聞いたときは『あ、そうなんや。』という感じでした。
以前、娘の授業参観へ行ったときに学校の雰囲気や様子を見て、娘には少し息苦しいなと感じたことがありました。
だから、あまり驚くことなく娘の気持ちを受け止めることが出来ました。
―お父さんはお子さんのお話を聞いてどのように感じられていたのですか。
杏子さん:私とは反対に、夫は『学校に行きたくないってどういうことや。』とショックを受けているようでした。
小学校の先生も夫も娘を学校に行かせたいと思っていたので、初めは意見が噛み合わないことがたくさんありました。
私の場合は娘との対話よりも周りにいる大人とのコミュニケーションの方が難しかったです。
私自身は学校での環境が変われば、娘がまた学校に通えるようになるのではないかと思い、小学校に手紙を送ったりもしました。でも夫はそれをあまりよく思っていないようでした。
夫は夫で娘のことを色々考えてくれていて、お友達と一緒に通学すれば通いやすくなるのではないかと、学校に戻る方法を提案してくれました。でも私は学校に行きたくない人を無理に行かせるのは違うなと思っていました。
―どのようにしてお父さんの考え方が変化していったのですか。
杏子さん:何度も夫と話し合う時間を作って、娘の目線で考えてほしいと伝えました。
以前に夫が子どものころ病気で学校に行けなくて、やっと学校に行けたときに嬉しかったという話をしてくれました。
夫にとって学校は楽しいという印象しかなかったようで、学校に行きたくないという気持ちをすぐに受け止められないのは仕方がないと思いました。一概に夫を責めることは出来ないなと。
でも娘がフリースクールに通う様子を見て、少しずつ学校に通うしんどさや、娘の気持ちがわかってきたのではないかと思います。
今は日々、娘に成長させてもらっているなと感じています。